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日本臨床皮膚科医学会 第20回臨床学術大会
シンポジウム2「旅行医学ー旅行医学って何だ、という人は是非聞いてくださいー」抄録より。

 旅行医学とは”Travel Medicine”の日本語訳ですが、”Travel”つまり人の移動の安全を科学する新しい応用医学分野です。
 旅行医学は、温泉医学会、そして笑いの医学会と合わせて、三大お遊び学会であるかのような印象を持たれる方も少なくないと思います。しかし、笑いの効果は癌患者の免疫力、特にNK細胞を増加させることが実証されています。高齢化に向かう日本の社会においては適切な温泉医学のプログラムが無限に膨張して破綻しそうな医療費の抑制手段となる可能性も秘めています。そして旅行医学に真摯に取り組んでみるとタコツボ化(医療があまりに専門に分化しすぎ、自分の分野に閉じこもってしまった状態)した今日の医療で、もう一度基本事項に戻ってひとりひとりの安全や健康増進を扱うことの重要性に気づきます。エビデンスに基づいた医学の時代の「旅行医学」は、少なくとも統計に基づく「旅行医学」です。例年外務省の発表する日本人の海外での死亡統計、海外保険の最新の支払い統計、大手旅行会社のトラブル集計に基づく「旅行医学」では、第一に海外旅行中の脳卒中対策、第二に心筋梗塞対策、第三に、交通事故対策が必要です。つまり、日本の「旅行医学」は、救急旅行医学がメインの骨格です。
 一方、医師も含め世間一般では、「海外旅行の医学」は、マラリア、コレラ、予防接種」とイメージされています。しかし統計的には、マラリアでの死亡率はこの10年間で、0.8人/年で、コレラや下痢での日本人の死亡はありません。これらの分野は「熱帯旅行医学」、または「開発途上国旅行医学」と呼ぶべきで、アフリカのツアーに参加する人やJICAの派遣員などの少数の人に必要な、限られた領域です。広く一般旅行者の安全に必要な「救急旅行医学」を骨格とした多くの人の必要とする「旅行医学」と、少数の限られた人に必要な「熱帯旅行医学」とは、はっきり区別して扱わなければなりません。
 一人でも多くの方が旅行医学という新しい分野に興味を持っていただければ幸いです。

日本旅行医学会専務理事 篠塚 規

合わせてこちらもご覧ください。
(老年医学専門誌Geriatric Medicineに掲載された記事「旅行医学の理解のために」)

 
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